空手を始めたときのこと:前編

 

子供のころ、漫画ばかり読んだり見たりしていたせいで、意味もなく自分はすごく強いと勘違いしていました。小学5,6年生になったころ、「決闘」という言葉がちょくちょく男の子どうしで交わされるようになりました。気に食わないことがあったりした時に決闘でカタをつけよう、と喧嘩をしたのです。

 

かっこいい主人公みたいに一発で相手をやっつけられればいいのですが現実はそう甘くありません。髪の毛を引っ張られて地面に顔を押さえつけられて泣いてしまうのでした。

 

そのあとは「あいつはすぐに泣く」とか「弱いくせに声がでかい」とか散々バカにされてしまいました。当時はとても悔しくて、みっともなかった覚えがあります。そんな中で一目置かれていたのが当時空手をやっていた子たちでした。

 

学校の体育館でやっていたらしいのですが、その子たちはいばりん坊の間でも「あいつには手を出したらまずい」と言われていたのです。一度空手使い(当時の呼び名)の戦いを見たことがありますが相手を容赦なくグーで殴る様に恐怖を覚えました。

 

すげえなあと思いはしたものの、結局大人になるまで自分で実際に習ってみよう、鍛えてみようとはならず、格闘技とは無縁の人生を歩んでいました。

 

社会人になってから空手を習いだしたのですが、動機は今でもはっきり覚えていません。強いて言えば「余りにもヒマだったから」でしょうか。就職した当時、車で通勤しておりパチンコなどもしなかったため、ゲームセンターに通うくらいしかやることがなかったのです。

 

じゃあなんで空手の道場に入門しに行ったのか?と言われるとなぜかは今でもわかりません。なんでそんなに積極的だったんだろう?当時は「自分の体をどれくらい使いこなせるか知りたい」って言っていた記憶がありますが、これは後付けの理由だとおもうんですよね。

 

そんな空手も3年ほど続けましたが結婚したり、引っ越ししたりで緑帯のまま辞めてしまっていました。

 

ところが今現在、子供と3年半ほど空手を続けています。家族と一緒にやると長続きしますね。まだ3年半だけど。

 

うちの子はおとなしい子で、車やロボットのおもちゃよりもぬいぐるみに愛情を注ぐ子供です。タオルにぬいぐるみをたくさん載せて「いかだで旅に出るの」などと言ってうちを散らかすだけの無害な子供です。そんな様子を見て、気持ちの優しい穏やかな子だな。と思い、旅の目的や移動距離を聞いて必要な物資をアドバイスしたりして遊んでいました。

 

ただ、僕には気になっていることがありました。子供は、凄くこけやすかったのです。運動神経が鈍いのは親譲りでしようがないにしても、その辺で頭をぶつけたり、こけたりと転倒によるケガが多かったのです。一度は額から大流血して救急車に乗りました。その時は僕も返り血ですさまじい姿になりました。

 

走りだしたときや、立ち上がった時などの動作を観察していると、どうもフラフラしているのです。まだ小さいので関節がしっかりしていないためかなとも思ったのですが「わっ!気を付けて!」とこちらが叫ぶほど危なっかしい動作が多いこと多いこと。

 

出かけるだけでハラハラしました。そんな中で一連の動きの中で一つ一つの動作をきっちりしてほしい、重心を理解してほしいと思うようになりました。それに空手を習うことが効果的かはわかりませんが、少なくとも武道の動きの中で転倒することはあまりないだろうと思いました。

 

そうなると、次は動機付けです。特に自分でやってみたいと思ってもらわないと身につかないだろうと思いました。

 

次回は心の火のつけ方について書こうと思います。