生まれた日のこと:後編

手術中のランプが消灯し扉が開いたのでついに子供と対面できる・・・。と思ったのですが、なんだか様子が慌ただしかったので「ん!?」とよく見てみました。

 

水槽のような保育器をお医者様と看護師さんが3人で取り囲み、慌てて分娩室から出てきました。邪魔にならないよう廊下の端に立っていたら、僕の前で歩みを緩めてくれました。中には大きくて真っ赤な赤ちゃんが入っていました。泣き声を上げるというよりも、むせこんでいるようでした。お医者様が慌てた様子で

「大きな男の子です!生まれてくるときに羊水を飲んでしまったので処置します!今から新生児室に行きますね!大丈夫ですよ!」

とおっしゃりました。僕は

「よろしくお願いします」

と深く頭を下げてエレベーターに乗っていく一行を見送りました。

 

当日は奥様のお義父さんとお義母さんが一緒に来ており、お義父さんはうれしさの余り、「生まれたよ!大きかったねー!」と言って新生児室があるフロアへ行ってしまいました。お義母さんが「おめでとう、上に行かないの?」とおっしゃいましたが僕は「まだチビさん(奥様)が出てきてませんから」と先に行ってもらいました。しばらくすると奥様がベッドに乗って分娩室から出てきました。目が合うとすぐに「見た?」と言い、僕は「会ったよ。ありがとう」と言いました。ベッド用のエレベーターに乗っていく奥様を見送って病室に向かいました。

 

病室に着くと奥様が搬送されてきました。「(子供は)どこにいるの?」と聞かれたので羊水を飲んでしまったため処置してもらっていることを伝えました。子供の様子がわからなかったため、とても大きかったことや、指輪の絶縁がうまくいったことなどを話していました。

 

ふと気が付くと、奥さんの腰のあたりが真っ赤になっていることに気が付きました。シーツをめくると、敷布団が背中の部分まで真っ赤になっていました。慌てて看護師さんを呼びに行き、奥様のお腹を押さえて止血している様子を隅で見守っていたら「旦那さんは出てください」と言われて仕方なく病室から出て行きました。

 

心配でしたができることもないので廊下に立っていたら、新生児担当の看護師さんがやってきて、子供は集中治療室に入っていること、お医者様から話があるので来てほしいことを伝えられました。

 

この後のことはまた別の機会に書いていこうと思います。