アンキロサウルスのアンキロー
子供が本当に小さかったころ夜なかなか寝てくれないので夜中のドライブに出かけていました。結構な頻度で出かけていました。不思議なことに車に乗ると10分と立たずに眠ってくれたのです。
もう少し大きくなってからは寝る前に絵本を読むようになりました。「いないいないばあ」「おやすみなさいお月さま」「だるまさんがころんだ」などなど今では読まなくなりましたが優しい言葉遣いや優しい絵柄を懐かしく思い出します。
とはいえ、3歳くらいのころには子供は保育園に通い、両親は共働きでした。夜寝る前に布団の中で本を読むのはなかなかつらいものがあります。眠くなっちゃうんですよね。下手をするとこっちが先に眠ってしまうという。
奥様も頑張ってくれていましたが睡魔に負けてしまうことも多く、子供が非常に悲しんでいました。僕も読もうとしますが疲れているし、仰向けで本を読むのは眼鏡の人にはちょっと辛いものがあります。暗いし。
そういうことが続き、子供も譲歩してくれたようでした。「じゃあ、なんかお話して」と絵本読みの代わりの案を提案してくれたのでした。
ハードルが上がった気もしましたが、とりあえず主人公は恐竜にすることにしました。肉食恐竜は食事の話が残酷になってしまうので草食恐竜を登場させることにしました。草食竜の中で僕が好きなアンキロサウルスを主役にして特に何も考えずに話し始めました。
アンキロサウルスのアンキローは迷子のアンキロサウルスです。
小さいときにお母さんとはぐれてしまって一人で暮らしています。
アンキローはお母さんに「この柿の木の下で待っているんだよ」と言われたので、毎日その木の下で待っているのです。(その後この柿の木は約束の木という名前になりました)
というパートを必ず挿入するようにして毎日話を作っていました。アンキローは一人称が「おで」で語尾が「~~~だど」という話し方をします。
それから、「アンキローは頭があまりよくないので」というフレーズも頻繁に使いました。できないこと、分からないことがとても多い子でした。
ご飯を食べるときだけは、葉っぱや落ちた果物を「掃除機のように」吸い込んで食べるのです。アンキローがご飯を探してやっと見つけたごちそうにありつくシーンではいつも子供が微笑んでいたのを覚えています。
小学生になる前くらいまで続けていたので「アンキローばなし」は3年近くのロングラン上映でした。版権キャラに登場してもらったり、昼間に思い付いた教えてあげたいことをストーリーに組み込んだり、連続ストーリーにしてみたりとわりかし時間をかけていた気がします。
こちらは翌日忘れていることもあったのですが、子供はよく覚えてくれていてそれまでのあらすじを話す前に説明してくれていました。(もう自分でできるんじゃね?)と思ったこともあります。
ラストでアンキローがお母さんに会うシーンで時代考証を加えて「約束の木」のことを「メタセコイア」と言ったのですが、その瞬間「違うよ、約束の木は柿の木だよ」と訂正されました。
そういやそうだった、ちゃんと聞いてくれていたんだ。よく覚えてるなあと感動したことを思い出しました。