子供と戦争の話をする話

毎年この季節になるとお墓参りに行きます。地域によって異なるかも知れませんが、僕の暮らす地域ではお墓にちょうちんを備えてご先祖様にうちに帰って来てもらいます。

 

集落で管理している墓所で、全部で50基ほどのお墓が集まる場所です。その中に10基ほど他と異なる並びのお墓があります。込み入ったほかのお墓と違って明らかにゆとりをもって大きなお墓が建立されています。小さいころからどうしてこのお墓だけ特別なのか不思議に思っていました。

 

ある時母親にこの特別なお墓は誰のお墓なのかと尋ねました。母親は「このお墓は戦争で亡くなった兵隊さんのお墓」だと教えてくれました。

 

僕の母親自身は小さかったため戦中の記憶はほとんどありませんでしたがおばあさんから聞いた戦時の話や空襲の恐ろしさを夏になるとよく話してくれました。木造家屋に焼夷弾が落ちると中の重油のようなものがべっとり付着して消火ができなくなってしまうことや、余った弾を使い切るためか機銃掃射が民家や一般人に向けられていたことなど当時の方々が身近に死を感じていたことが伝わってきました。

 

小学校3年生の夏休みに父親から「ロザリオの祈り」という本をもらいました。長崎の原子爆弾投下から生き抜く物語でした。原子爆弾投下後長崎の町がまさに地獄と化した場面はほんとうに、ただただ恐ろしく、人間が人間にこんなひどいことをできるのかと心底恐怖を感じました。

 

その後、NHKの戦後特集番組や核廃絶を訴える番組で世界には核爆弾が山ほどあり、ミサイルは世界中に向けられていることを知り夜も眠れなくなるほどおびえることがありました。

 

大きくなるにつれ僕が生まれる前にキューバ危機など人類滅亡すれすれの事態が起こっていたことや世界中での核実験の悲劇などを知っていくことになり、「人類マジで大丈夫か」と思いながら大人になりました。

 

今、父親になって自分の子供にどのように伝えていくか悩んでいます。

 

先の大戦では本当に多くの人が苦しんだ。だから、戦争はダメ。核兵器もダメ。まあ、それはそうなんですが、そこで考えるのを止めてしまうのもよくないと思っています。

ダメって言っても起こってしまうかもしれませんから。

 

どうしてあんなにも酷いことになってしまったのか、そこから何を学ぶことができるか・何を生かすことができるか、を考えなくてはいけないと思いました。そこで、子供には

 

・なぜ戦争が始まってしまったのか? 

国際情勢 国内事情 開戦に至った状況 資本・資源の状況

・なぜ戦争中にあんなにひどいことがたくさん起こってしまったのか?

帝国軍の構成・軍内のパワーバランス 当時の軍隊の人権意識

軍隊内の階級・教育制度 兵站の考え方

将官の軍事国際法の理解度

・なぜすぐに戦争を止めることができなかったのか

情報の隠ぺい・歪曲 マスメディアの役割 だれが政策・作戦決定者だったのか・どのように決定していたのか

・戦後の処理は正しかったのか

極東軍事裁判の意味 

戦犯になってしまった人たち・ならなかった人たち(その後も含めて) 

・戦争をしないためには何をしなくてはならないか

戦争のない状態について 平和とは どうやって維持するのか 

 

などなど一次資料があるものについてはできるだけ詳しく説明して、「戦争を起こさないためにはどうすればいいのか」 という問いについて一緒に考えていきたいと思っています。

 

はじめは日本のことから。いずれは世界のことを考えられるようになれればいいなと思います。

 

 

最近記録は廃棄したとかびっくりするお話がありますが、記録は大事です。たとえ間違ったことをしたとしても、また繰り返さないために原因を知る必要があるからです。

 

追記 いろいろ考えてみてもやっぱり戦争はいけない、絶対にいけないと思います。これを前提にして子供と一緒に考えていきたいと思います。